こんにちは。
ブランディングコンサルタントの堀田周郎(ほりたのりお)です。
突然ですが、皆さんは商品やサービスの価格をどうやって決めていますか?
売価を決めるときは、製造原価や仕入原価に必要な利益を上乗せしたり、競合商品の売価を参考に決めているのではないでしょうか? そして、売れなくなってくると「世の中は不景気だ。価格を下げないと売れない」と考え、あなたの大切な商品やサービスを安売りしようとしていないでしょうか?
しかし、今はモノ余りの時代です。
お客さまが「いらない」と思えばいくら値引きしても売れませんし、無料でも引き取ってもらえないかもしれません。
あなたの商品やサービスが売れない理由は「価格が高いから」ではありません。
「価値が伝わっていない」から売れないのです。
これまでこのブログでは「価値の伝え方」について色々と書いてきましたが、今回は少し切り口を変えて、「価格設定の考え方や方法」について書いてみたいと思います。
価格とは価値宣言です
珈琲1杯の原価(豆代)は約35円。
ですから、コンビニでは珈琲を100円で販売することができます。
ところが、スターバックスだと300円、珈琲専門店だと500円、一流ホテルのラウンジだと1500円の値段がつきます。しかし、「コンビニに比べてお前の店は高すぎる!」と文句を言う人はいません。
それは、お客さまが珈琲の味以外のその場所で「体験できる価値」に対して、その価格設定が妥当だと感じているからです。
あなたの扱う商品やサービスはスペック以外の価値をお客さまに提供しているでしょうか?
価格とは、商品やサービスの「価値宣言」です。
売れないからと言って安い値段をつけることは「私の商品はこの程度の価値しかありません」とお客さまに宣言しているのと同じです。
でも、日本人の感覚では、原価の何倍もの売価で商品やサービスを売ることに対して抵抗感、罪悪感がある方もいるかと思います。
それでは、少しずつ皆さんの価格設定に対する心のロックを外していきたいと思います。
価格設定に対するロックの解除
通販の化粧品やサプリメント、健康食品の原価率はどれくらいだと思いますか? 正解は10~20%です。だから、テレビや新聞を使って大々的に広告を打つことができます。
続いては、高級ブランド服の原価です。150万円の高級婦人服ブランドの生地っていくらだと思いますか? 某新聞の対談記事によると、メーター5千円、服1着に3m使うので材料の生地代は1万5千円だそうです。びっくりですね。
最後は、腕時計です。
時間を正確に知るだけの機能的価値を求めるのならば5千円~3万円も出せば品質の高い腕時計を買うことができます。
しかし、デザインや高級感、信頼感といった情緒的価値にこだわる人にとっては30万~50万円でも妥当な価格かもしれません。
また、ステイタスシンボルとしての自己表現的価値を求める人にとっては100万円以上の時計も決して高いものではなく、富裕層に人気の高い腕時計の中には1,000万円を超えるものも珍しくありません。ちなみに、ZOZOの前澤元社長が、月周回飛行を発表した記者会見の時に身に着けていた時計は定価9,790万円です。
それでは、高級腕時計の原価です。
時計の原価はムーブメント(駆動をつかさどる部分)によって違ってきます。
スイスの高級腕時計「フランク・ミュラー」が裏路地の露店で5,000円で売られていたらたとえ正真正銘の本物であったとしても99.9%の人は、ニセモノだと判断すると思います。
しかし、フランク・ミュラーの1000万円するような時計は、芸術品ともいえる精巧な自社製ムーブメントを使用していますが、ネット情報によると100万~200万円クラスのフランク・ミュラーにはETA(エタ)の汎用ムーブメントが使われており、原価は5~6万円くらいだそうです。
ETA(エタ)の汎用ムーブメントは数多くの時計メーカーで採用されており、300万円のブランドウォッチの原価が数万円ということもあるそうです。(この件に関して興味のある方はネット検索してみてください)
いかがですか?
価格設定に対する心のロックは少しは外れたでしょうか?
ブランドとは心の中に生まれた価値
価格は商品購入の判断材料のひとつです。お客さまは5千円だからこれくらい、10万円だからこれくらいの価値があるだろうと判断する場合があります。ですから、逆に安すぎて売れない場合もあります。
ブランドとは
「受け手」の心の中に生まれた価値です。
ブランド価値の
決定権は100%お客さま側にあります。
極端なことを言えば、いくら高い価格をつけたとしてもお客さまが「価格以上の価値がある」と判断すれば、商品は売れます。
その逆に、いくら価値があると企業が主張しても、お客さまにそれが認められなければ、決して商品は売れません。
価格設定は商売において最重要課題のひとつです。
価格は適当に決めてはいけません。
脱価格競争の鍵は価格設定にあります。
そこで、商品やサービスの価格を決めるときは、
- 自分の商品には、どの程度の価値があるのか?
- 理想のお客さまから見て、その価値に相応しい価格はいくらなのか?
- 理想のお客さまに、商品の存在を知ってもらうにはどうすれば良いのか?
という順番で考えていくべきです。
商品やサービスの価値がまだお客さまに伝わっていない状況で値下げするのは、ブランド価値を下げてしまう結果になるのでご注意ください。
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今回は、少し極端な話になってしまいました。
決して価値のないものに高い値段をつけてブランディングしようという話ではありませんのでくれぐれもお間違えなく。
商品の価格を構成している要素は、決してスペックだけではないということをご理解いただければ幸いです。
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- ブランディング コンサルタント・堀田周郎(兵庫県姫路市)

堀田 周郎

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