こんにちは。
ブランディングコンサルタントの堀田周郎(ほりたのりお)です。
まちづくりに興味のある方へ質問です。
なぜ、地域活性化が必要なのでしょうか?
こんなことを書くと、
そんなことも分からないのか?「地方経済は年々衰退している」「高齢化と人口減少に歯止めがかからない」「このままだと地域そのものが消滅してしまう」とお叱りを受けるかもしれません。
でも、効率だけを考えれば都市部への一極集中は悪いことではありません。
今回はそんな疑問について考えてみたいと思います。
目的は地域経済の活性化?
今から31年前、私が姫路青年会議所に入会した頃の話です。私(当時29歳)は兵庫ブロックの新会員セミナーで、地域活性化が必要な理由を以下のように習いました。
- 皆さんは地域に密着した商売をしているのでしょう?
- 地域経済が衰退したら皆さんの商売も成り立たなくなります
- だから、地域経済の活性化を図るためにまちづくりを行って、商売のパイを拡大する必要があります
古い話なので詳細は覚えていないのですが、こんな内容だったと思います。新会員だった私は「そうなんだ。だから、地域活性化が必要なんだ」と納得しました。
ところが後日、その話を姫路青年会議所の先輩にすると「堀田君、地元の商圏が小さくて商売が上手くいかないなら、神戸や大阪、東京に進出すればええんとちゃうのか?」とあっさり言われてしまいました。
「なるほど」と思いました。
また、地域活性化の目的がパイの拡大だとすると、結局は他地域とのパイの奪い合いになってしまい、それって地域エゴではないか?とも思いました。
郷土愛はありますか?
皆さんは、地元を愛していますか?
地元を誇りに思っていますか?
かく言う私は、中学から大学まで神戸の学校に通っていたためか、青年会議所入会当時は地元に対する愛着はありませんでした ・・・と言うより姫路は自慢するものがない田舎町だとどこか馬鹿にしていたところがありました。
もちろん、まちづくりなんてまったく興味はありませんでした。
ところが、
青年会議所入会2年目に姫路市制100周年記念イベントで、ライトアップされた姫路城を見て突如「郷土愛」に目覚めました。
それは、衝撃の体験でした。
100周年記念イベントとして、世界的デザイナー・高田賢三さんのファッションショーが姫路城三の丸広場で開催されたのですが、開催中、お城の電気は消されて真っ暗でした。ショーが終わった瞬間、城周辺に配置されていたロボットサーチの照明が一斉点灯され、縦横無尽に動き回るその真ん中に姫路城が雄々しく浮かび上がりました。
子どもの頃から当たり前の光景として毎日見ていたお城がこんなにも美しい建造物だったことに、また自分の心の支えになっていたことに、この時始めて気がつきました。
「姫路に生まれて良かった」とつくづく思いました。
この体験以来、私にとっての姫路は「恥ずかしいまち」から「誇りに思えるまち」に変わり、その後のまちづくり活動のきっかけになりました。
魅力の発見と情報発信
以前の私のように、地域の魅力に気づいていない人は多いのではないでしょうか?
また、地域の魅力と言っても、人によって「賑わいのあるまち」「観光資源があるまち」「子育てしやすいまち」「自然豊かなまち」など様々です。
そこで、金太郎飴のような全国同じまちづくりをめざすのではなく、その地域の特性に合わせたまちづくりが必要です。
一過性の話題づくりや、集客だけが目的のイベント開催では意味がありません。
そのための第一歩としてやるべきことは「まちの魅力の再発見・再構築」です。
そして、その魅力を域外に向かって「情報発信」することが大切です。
皆さんは、愛する郷土が認められたら嬉しくないですか?
他地域からの評価を得ると、地域経済の発展につながるだけでなく、郷土に対する自信と誇りの回復にもつながります。
立派な公共施設を建てたり、企業誘致で雇用を確保しても、そこで住む人にとって魅力がなければ、人もお金も域外に流出してしまいます。
また、郷土を愛する気持ちがない人が暮らすまちに、観光で訪れたり、ましてや移住して子育てをしたいと思う人はいないと思います。
地域活性化の最終目標は「郷土愛の育成」です。
地域活性化が日本の発展につながる
今回、ブログの冒頭に「効率だけを考えれば一極集中は悪いことではない」と書きましたが、近年では一極集中の弊害が問題になってきました。
実際、東京は人口流入が多い一方で出生率が地方都市に比べて低く、人口にしめる高齢者の割合は急速に上昇しています。しかし、生活コストが高い東京はけっして高齢者にとって住みやすいまちではありません。
東京をはじめとする大都市だけに一極集中させないことが、長期的に見ると日本全体の健全な発展につながると思います。
先祖が築き上げ守って来たまちを、次世代を担う子供たちに引き継いでいきたい。
子供たちが、未来に対して希望を持てるような地域の活性化を図っていきたい。
つくづくそう思う今日この頃です。
関連記事:地域ブランディングの失敗原因を考える |
関連記事:自分の店が儲かることが、まちの発展につながる |
関連記事:成功者への妬みを回避する方法 |
・地域ブランディングに関するご質問、ご相談はこちらをクリック >>
・ブランディング コンサルタント・堀田周郎(兵庫県姫路市)

堀田 周郎

最新記事 by 堀田 周郎 (全て見る)
- [安売りする前に] 商品の価格設定の方法 - 2020年2月14日
- 貴方のお店をブランドにする_(3) - 2019年12月19日
- 共感できる情報発信が大切です - 2019年12月17日