こんにちは。
ブランディングコンサルタントの堀田周郎(ほりたのりお)です。
企業規模の大小に関わらず、社長の印象は企業イメージに大きな影響を与えます。極端な例では「あの社長の会社から買いたい」とか、逆に「あんな社長の会社からは買いたくない」ということさえ起こります。
社長は、企業の「顔」であり「象徴」です。
そこで、企業ブランディングの一環として、社長の「好ましいイメージ」を企業の内外に積極的に伝えていく必要があるのですが、ホームページに社長の顔写真すら掲載していない企業があるのも現実です。
そこで今回は、社長の個人ブランディング(以下、社長ブランディング)について考えてみたいと思います。
どのように覚えられたいか?
社長ブランデングとは
企業の象徴である社長の人物像を、ターゲット(顧客や投資家、得意先、銀行、就活中の学生など)の心に刻み込むためのコミュニケーション活動です。
社長ブランディングでは
ターゲットに覚えて欲しい社長の「好ましいイメージ像」を探し出すことから始まります。
そのためには、これまでに歩んで来た人生を振り返りながら内面を深く掘り下げていく必要があります。しかしそれでも、長所となる性格や誇るべき経歴が見つからないという社長さんもいるかもしれません。
でも、ご安心ください。そんな時は、短所を長所に変換してみると見つかる場合があります。
長所と短所はコインの裏表の関係です。
たとえば、「大ざっぱな性格」は「豪快な性格」、「頑固」は「信念」、「優柔不断」は「柔軟性」といった具合に置き換えることができます。
またこんな過去の短所があったからこそ、今の自分があると紹介する事も可能です。ちなみに経営の神様・松下幸之助は「学歴がなかった」「体が弱かった」「貧乏だった」からこそ自分を成長させることができたと発言しています。
当たり障りのないキャラクターでは印象に残りません。無理に短所を隠そうとする必要もありません。企業のトップには個性的な人が多いので、この方法は意外に有効です。
そして、企業ブランドとの「整合性」も考慮に入れながら、ターゲットから「どのように覚えられたいか?」という社長像を探しだしていきます。
伝わらせたいイメージに合わせる
「どのように覚えられたいか?」という社長像が決まったら、そのイメージに合わせて外見を整えていきます。
第一印象は大事です。
アメリカの心理学者アルバート・メラビアン氏は、人の印象が影響を受ける比率は、視覚(見た目)55%、聴覚(声のトーン・話し方)38%、言葉(話の内容)7%だと言っています。
そこで、体型や服装を整えると共に、独自の「アイコン」や「ブランドカラー」を決めていきます。
参考になるのはあのトランプ大統領です。
皆さんは、トランプ大統領と言えばどんな外見や服装が思い浮かぶでしょうか?
あの変な、個性的なヘアースタイルぶさいくな、不自然に長いネクタイ- 紺のスーツに赤色(無地)のネクタイ
ネクタイに関しては「赤色」のイメージが強いですが、テレビのニュース報道を見ていると「青色」のネクタイをしていることもあります。これは相手に与えたいイメージの違いによって使い分けているのだと思います。
何かとお騒がせなトランプ大統領ですが、大統領選ではクリントン陣営の6倍近いのSNS関連費用を使うなど、彼がブランディング戦略に精通していることは間違いありません。トランプ大統領の一見荒唐無稽で過激な発言もトリックスターとして計算されつくしたものです。
トリックスター:神話や民間伝承のなかで,トリック (詐術) を駆使するいたずら者として活躍する人物や動物。ときには愚かな失敗をし,みずからを破滅に追いやることもあるが,詐術的知恵や身体的敏捷性をもって神や王など秩序の体現者を愚弄し,世界 (社会) 秩序を混乱・破壊させる。一方,一般の人間界に知恵や道具をもたらす文化英雄としての役割も果し,両義的な性格をもつ。(ブリタニカ国際大百科事典より) |
社長ブランディングの機会
ただし、外見と行動は一致しなければ「信頼」を失います。
信頼を失うのは社長個人だけの問題ではありません。時には企業の信頼すら失うことがあります。
いくら立派な企業理念を謳っていても、約束の時間にいつも遅れたり、ゴルフのスコアをごまかしたり、人の秘密や悪口を言う社長が経営している会社を、貴方は心から信頼することができるでしょうか?
社長は人との接触機会すべてにおいて、自らがつくったブランド像と外見、行動に整合性を持たなければなりません。ちなみに、以下のような接触機会がブランド・コミュニケーションの対象となります。
- SNSやブログ、ホームページ
- 会社案内や社内報
- 広告宣伝、広報
- 業界団体での交流
- 経済団体や社交団体での交流
- 社会貢献活動や地域イベントへの参画
- 従業員とのコミュニケーション活動
- その他、接触機会すべて
この中でお薦めなのはSNSやブログの活用です。
関連記事:SNSを使った個人ブランディング |
関連記事:ブログを使った個人ブランディング |
ところが、多くの社長さんはSNSもブログもやっていません。
私は昭和33年生まれなので、同世代(50代~60代)の経営者の方がSNSやブログをやらない気持ちも理解できます。
- 周りの社長仲間でやっている人がほとんどいない
- 経営に専念するべきで、遊んでいる暇はない
- 悪目立ちするのはいやだ
- SNSの悪い評判(炎上など)が気になる
しかし、世間のほとんどの社長がやっていないからこそ、積極的に活用し、自分の考えや行動に対して「共感」を獲得できた場合は、同業他社に対して大きなアドバンテージを得ることができます。
もちろん、すべての人がトランプ大統領のように過激な発言をしたり、奇抜な服装をする必要はありません。
例えば、まじめで地味な社長さんは、「誠実」や「堅実」といった好ましいイメージをターゲットに伝えていくべきだと私は思っています。
ぜひ、この機会に勇気を持って
社長ブランディングにチャレンジをしていただきたいと思います。
関連記事:個人ブランディングについて |
・社長ブランディングに関するご質問、ご相談はこちらをクリック >>
・ブランディング コンサルタント・堀田周郎(兵庫県姫路市)

堀田 周郎

最新記事 by 堀田 周郎 (全て見る)
- [安売りする前に] 商品の価格設定の方法 - 2020年2月14日
- 貴方のお店をブランドにする_(3) - 2019年12月19日
- 共感できる情報発信が大切です - 2019年12月17日