こんにちは。
アドバンテージマーケティングの堀田周郎(ほりたのりお)です。
ブランディングでは「企業としての価値観」を宣言することも大事です。
最近、ある地方食品スーパーの「恵方巻きの大量生産、大量廃棄に対して問題提起を投げかけたチラシ」がSNSで話題になっています。
大量廃棄に対するメッセージ
姫路を中心に8店舗を運営するヤマダストアーさんは「恵方巻きの大量生産、大量廃棄はおかしい」「もうやめにしよう」「今年は全店、昨年実績で作ります」というメッセージを2月1日のチラシに掲載しました。
▼チラシの要旨
- 昨年、大量廃棄された恵方巻きがSNSで話題になった
- 食材を原価だけで考えるため生産数は膨れ上がり続けている
- 海産資源は減っている
- 全店、昨年実績でつくります。売れ行きに応じて数を増やさない
- ヤマダは成長よりも今続けられることを大事にしたい
ヤマダストアーの「企業の成長よりも、食品ロスを減らす道を選択」「売上至上主義には違和感を感じる」というメッセージはTwitterで話題になりました。
ヤマダストアーに対する「共感」は瞬く間にSNSを通じて「拡散」。
Yahoo!の検索急上昇ワードランキングで4位にランクイン。Yahoo!ニュース経済欄トップに掲載されると、全国のマスコミから取材が殺到しました。
現在 ヤマダストアーには、地元客はもちろん、全国の消費者、同業小売店、チェーン店オーナーからの応援メッセージが数多く寄せられているそうです。(ちなみに欠品に関するクレームはなかったそうです)。
どの店から買うのか?
今回の一件はヤマダストアーさんの「ブランドイメージ向上」に寄与しているとつくづく感じています。
私は、ヤマダストアーは姫路市内を中心に店舗展開しているのでその存在は知っていたのですが、「ヤマダ」ではなくずっと「ヤマダヤ」だと思い込んでいました。(ヤマダストアーさんごめんなさい)
しかし、今回の一件で、私はヤマダストアーに「良いイメージ」を持つことができましたし、名前もちゃんと覚えることができました。(笑)
たまたま先日、別件でヤマダストアー新辻井店に行く用事があった時には「どうせどこかの店で買うのだから」と食料品をたっぷりと買い込んでしまいました。
モノ余りの時代です。
同じような商品が、同じような店でいくらでも買える時代です。
これからは「高いか安いか」という判断基準に加えて、「そのお店に共感できるか?」=「そのお店が好きか? 嫌いか?」という基準で選ばれる時代がやってきます。
言葉のインパクトとSNS拡散
今回はTwitterでの拡散がポイントとなりましたが、どのメッセージに「共感」するか? どのメッセージに「反感」を持つのか? の選択権は100%受け手側にあります。
2月1日付の日本経済新聞朝刊に、高級チョコレートのGODIVAが「日本は、義理チョコをやめよう」という広告をジェローム・シュシャン社長の署名入りで掲載しました。
▼ゴディバ「義理チョコやめよう」広告に込めた想いは?
https://www.j-cast.com/2018/02/04320230.html?p=all
この広告に対してネットでは「そう思う」「本命チョコ向けのメーカーだから言える」「義理チョコ制度は悪いことだけじゃない」など賛否両論が集まっているそうです。
ただ、一番の問題は
「義理チョコやめよう」
「もうやめにしよう」
という言葉のインパクトの強さです。
本文を読むとGODIVAは義理チョコの是非ではなく「バレンタインデーをもっと好きになってほしい」というメッセージであるということがわかります。
しかし、SNSでの「拡散」は伝言ゲームの要素が多々あり、時には発信者の意図していない「バレンタインチョコレートをやめよう」「節分に恵方巻きを食べるのをやめよう」と間違って伝わってしまうリスクもあります。言葉のインパクトが強い程、拡散力は高まるので注意が必要。特にTwitterは文字制限があるので注意が必要です。
[参考] 伝言キーワードを仕込む |
その辺りはヤマダストアーさんもよく理解されていて、ホームページでは以下のように広報されています。
▼ヤマダストアー株式会社
http://www.yamada-store.com/
[要旨]
TV報道などで若干過熱気味にある中、当社が伝えたかったことが誤解されている部分もありますので、再度お伝えしたいと思いHPを更新させていただきました。
- 私たちは恵方巻をやめようとは言っていないこと
- 他企業様の批判ではないこと
- 賞賛されるべきは私達ではないということです
ヤマダストアーから全国の消費者の皆様へお願いがあります。
是非、地元の農家さんや近所の魚屋さんやお肉屋さん、近所のパン屋さんなどの一番身近な小売店を応援してください。真の意味で皆様に本当の豊かさを与えてくれるのは、皆様の一番近くにいる人達です。
私も食品製造の会社を経営していたので、ヤマダストアーのメッセージにはすごく「共感」を感じました。地方の商店が生き残る道はここにヒントがあると思っています。
「企業としての価値観を宣言する」ことは、
強いブランドづくりやコアなファン客づくりには必要不可欠です。
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堀田 周郎

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