こんにちは。
ブランディングコンサルタントの堀田周郎(ほりたのりお)です。
何度も書きますが、ブランドとは「心の中に刻み込まれた価値」です。そのため、ブランドの価値は一定ではありません。同じブランドでも、どう感じるかは人によって全く違います。
また、ブランドの価値は条件によっても変わってきます。価値を高める方法として以下の方法があります。
- チェンジする
- 絞り込む
- 冠を獲得する
今回は、この中から「チェンジする」方法を紹介したいと思います。
ネーミングをチェンジする
ブランドを構成する要素の中で一番大切なものはネーミングです。
ですから、商品のネーミングを個性的で商品のイメージに合ったものに変えることで、売れなかった商品がヒット商品になることがあります。代表的な事例には以下のようなものがあります。
[変更前] | [変更後] |
フレッシュライフ | 通勤快速 |
缶煎茶 | お~いお茶 |
WEST | BOSS |
豆ダッシュ | チョロQ |
関連記事:ブランド構成要素でネーミングは最重要 |
デザインをチェンジする
優れたロゴマークやパッケージ、キャラクターは、他社の商品・サービスとの違いを記銘させ、次に出会った時に、ブランドのイメージを想起させる大きな役割を果たします。
例えば、コカコーラーはペットボトルにも、独特のくびれた形状のボトルデザインを採用しています。氷菓のガリガリ君は2000年にキャラクターを今のデザインにリニューアルし、大ヒット商品となりました。
デザインで商品の価値は変わります。
デザインは、見た目の良さやインパクトの強さではなく「自社のブランドらしさを表現できるか?」「良いイメージを伝える事ができるか?」という判断基準で決定します。
また、店舗デザインやホームページ、販促グッズ、広告宣伝などについても、ロゴマークやパッケージ、キャラクターと統一感のあるデザインを採用しなければいけません。
客層をチェンジする
ブランドの価値と言っても、デザインに価値を感じる人、機能に価値を感じる人、自己表現的なものに価値を感じる人と様々です。
ブランドの価値は販売する相手によって変わります。価値を理解できない人に、適正な価格で商品・サービスを売ることは困難です。
そこで、フラッグシップ商品をつくり「客層を変える」事で、ブランド全体の価値を高めるという方法があります。
客層を変えると「価格競争からの脱却」が可能になります。
フラグシップとは
旗艦のこと。 艦隊の司令官が乗って指令・指揮を行う軍艦。 転じて、多くの同類の物の中で最も重要なもの、企業の商品やブランドの中で最上級や最高級のものなどを指す。 (Wikipediaより)
売る場所をチェンジする
シャネル直営店で売っている高級バッグを、露店で売れば価値は下がります。
無名な農産物も、高級デパートの食料品売り場で売れば価値は上がります。
一般的な商品も海外で売ればメイドインジャパンとして価値は上がります。
ペットボトルの水も砂漠で遭難している人に売れば価値は上がります。
ブランドの価値は売る場所で変わります。
また、場所が変わると商品・サービスの意味が変わる事があります。
兵庫県姫路市の酒蔵・本田商店のフラグシップ商品・龍力「秋津」720mlは1本1万5千円しますが、香港の高級ホテルでは7万円のプレミアム価格で販売されています。また、マカオや中国本土でも良く売れています。
龍力「秋津」が中国で評価されるのは、品質の良さに加えて、ブランド名「龍力」を英訳すると「ドラゴンフォース」となり、龍好きの中国人に支持されているという理由があります。
カテゴリーをチェンジする
龍力「秋津」が中国で売れているのにはもう一つ理由があります。
龍力「秋津」は酒米・山田錦の最高ランクのものを精米歩合35%まで磨き込んだ純米大吟醸酒、フルーティーで爽やかな酸味があるワインのような日本酒です。
日本酒で1万円以上する酒はまだまだ少数ですが、ワインの中にはロマネコンティのように百万円以上するものもあります。ワインのカテゴリーで考えると龍力「秋津」の価格は、中国の富裕層にとってはけっして高いものではありません。
カテゴリーを変えることで価値を高めることが可能です。
分かりやすい例に、高級腕時計があります。
百万円の腕時計を、時間を正確に確認する道具だと考えると高すぎますが、宝飾品だと考えると百万円は妥当な値段かもしれません。
そして、ステータスを誇示する道具だと考えると、一千万円以上する腕時計(高価な事に価値がある商品)が存在する理由も理解できます。
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その他にも「販売時期」「販売数量」「販売者」「サイズ」「用途」などをチェンジする事で価値を高める方法はまだまだあります。
ぜひ、頭を柔らかくして自分の商品・サービスを価値を高める方法を考えてみてください。突拍子もないと思ったアイデアが、もしかすると実現可能かもしれません。
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・ブランディング コンサルタント・堀田周郎(兵庫県姫路市)

堀田 周郎

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