こんにちは。
ブランディングコンサルタントの堀田周郎(ほりたのりお)です。
強いブランドには、一貫した「らしさ」があります。
例えば、ブランディングの事例によく出てくる「コカコーラ」には、一目でそれと分かるロゴ、ブランドカラーの赤色、くびれた形状のボトルデザイン、爽快なイメージを伝えるキャッチコピーと独特の味。どこをとっても「コカコーラらしさ」が存在しています。
今回はそんなブランドの「らしさ」について考えてみたいと思います。
「らしさ」はありますか?
メジャーリーガーのイチロー選手が「僕が日本ではオリックスでプレーしていた事はご存知だと思いますけど、じゃオリックスって何の会社だか知っていますか?」と言っているテレビCMを見たことありますか?
「知名度」と「認知度」は同じではありません。
オリックスに限らず、「知名度」は高いが、何をやってる会社か知らないという企業は結構多いかと思います。
しかし、知名度、認知度が高くても、更にそのブランド「らしさ」までが、人々の心の中にちゃんと伝わっている企業は意外と少ないと思います。
例えば、日本を代表するブランドのトヨタ自動車が、燃費が良くて故障がほとんどない高品質の車をつくっている事は世界中の人が認知しています。
しかし、「トヨタらしさ」とは?と尋ねられて答えられる人はいるでしょうか?
トヨタと日産の違いを語れる人はどれだけいるでしょうか?
BMW、ベンツに乗りたいと憧れる人はいますが、トヨタに乗りたい、パッソでもヴィッツでもトヨタならなんでも良いと思う人はいるでしょうか?
選ばれるブランドには「らしさ」が必要です。
強い個性を持っているブランドは欠点さえも許されることがあります。イタリア車に乗っている日本人オーナーの中には、故障しても、塗装に錆が出ても「イタリア車らしい」と許容してくれる人がいます。
すべての顧客に売ろうとすると「らしさ」を失ってしまいます。
ユニクロとGU(ジーユー)は、どちらもファーストリテイリングのグループ事業ですが、ユニクロがすべての顧客をターゲットにしているのに対して、GUは若い女性層に絞り込んでいる分だけ、ブランドとしての「らしさ」を感じさせられます。
最初は演じる事からスタート
企業からターゲットに対して行うコミュニケーション活動はネーミング、ロゴ、カラー、パッケージ、メッセージの他、接客、広告など多岐にわたりますが、これらの顧客接点すべてに一貫した「らしさ」が必要です。
もしも、ロゴは有名書家に筆文字で書いてもらい、キャラクターは萌え系の漫画家、パッケージは新進気鋭のクリエーターに作成を依頼したらどうなるでしょう?
会う度に態度が違う人を信用できないように、いくら優れたデザインでも、イメージに統一感のないブランドは、ターゲットの心の中に価値を刻み込むことはできません。
しかし、最初から完璧な人がいないように、ブランディングの第一歩は、自分の会社や商品・サービスの「こうありたい」と思う理想のブランド像を決めて、それらしく振る舞うことから始まります。
そして、時間をかけて 一歩ずつ本物のブランドをめざします。
もちろん、それはお客さん向けの「売るためのポーズ」であってはいけません。嘘は必ず見破られます。
「らしくない」事はやらない
ワイドショーの不倫報道で、歌舞伎役者やお笑いタレントの中には「○○さんらしい」と許される人もいるのに、誠実なイメージのタレントが不倫した場合は、徹底的に叩かれる傾向があります。
「らしさ」があるブランドは強い支持を受ける一方で、その期待を裏切るとバッシングを受けます。たった1回の失言でブランド像すべてを壊してしまうことさえあります。
「らしさ」は守り続ける覚悟が必要です。
そのためには、基本コンセプトを構築する段階で「やらないこと」をリストアップして、それをブランドの憲法として明文化して遵守する必要があります。
どうしても異なることをする場合は、別ブランドを立ち上げる方法もあります。
飲食やアパレル業界では決してめずらしい事ではありません。例えば、ファミリーレストランを運営する企業が、ファストフード店や自然食オーガニックレストラン、本格フランス料理店とまったく別コンセプトの店舗を運営することは良くあるケースです。
でも、
やっぱり、
強いブランドをめざす場合は、深く、狭く絞り込む方が良い結果につながります。
大企業より小回りが利き、意思決定が早いというアドバンテージがある中小企業や個人商店は、「らしさ」のある強いブランドづくりをめざすべきだと思います。
・ブランディングに関するご質問、ご相談はこちらをクリック >>
・ブランディング コンサルタント・堀田周郎(兵庫県姫路市)

堀田 周郎

最新記事 by 堀田 周郎 (全て見る)
- [安売りする前に] 商品の価格設定の方法 - 2020年2月14日
- 貴方のお店をブランドにする_(3) - 2019年12月19日
- 共感できる情報発信が大切です - 2019年12月17日