こんにちは。
ブランディングコンサルタントの堀田周郎(ほりたのりお)です。
「広告が届きにくくなった。インターネットを活用して商品・サービスに関するクチコミを拡散しよう」というマーケティング手法が多数誕生しました。
しかしその反面、「ヤラセ」や「サクラ」といった嘘が発覚した失敗事例も多数生まれました。
人は感情操作されたと感じた時、心の中に大きな反発心が生まれます。クチコミ操作は厳禁です。ところが一方で、クチコミを自然発生だけにまかせると「間違ったイメージが伝わる」危険性があります。
そこで、お薦めなのは
「伝えたいキーワード」をメッセージに仕込むという方法です。
クチコミを伝言ゲームで考える
クチコミは伝言ゲームに似ています。
伝言ゲームを重ねると、どんどんかけ離れた答えになるように、自然発生したクチコミは、人を経由するごとに不正確さが増していきます。
例えば、少量生産している「おいしい和菓子屋」があったとします。
「おいしい」は個人の主観なのでクチコミされにくいキーワードです。
また、自然発生のクチコミに頼ると統一感のないイメージが拡散してしまい、中には「入手困難」「高価格」「敷居が高い」といった意図しないイメージが一人歩きしてしまう事もあります。
そこで、以下のような点を考慮しながら、伝言ゲームを重ねても最後まで伝わる「伝言キーワード」を見つけ、メッセージの中に挿入していきます。
- 記憶に残るインパクトがあるか?
- 具体的にイメージできるか?
- 知っていることを自慢できるか?
- 伝言しやすいキーワードか?
- ターゲットに相応しいキーワードか?
和菓子屋だと「文化人○○御用達」「隠し味に○○を使用」「毎朝11時までに完売」といったキーワードを仕込めばクチコミされやすくなります。ただし、嘘はもちろん御法度です。
私が手がけた事例で、特に効果があった伝言キーワードには「脂が旨い」と「松浦亜弥」があります。
脂が旨いベーコン
「炭火焼きベーコン」という商品名のベーコンがありました。
このベーコンは国産豚ばら肉を使って、こだわりの製法でつくった本格派の商品だったのですが、ネット通販を始めた1997年当時は脂が多いとクレームの一番多い商品でもありました。
ネットで販売するベーコンに関してはできるだけ脂肪の少ない商品を選別して発送したのですが、それでもクレームが減ることはありませんでした。
そこで、商品の説明文で
「ベーコンは本来脂を食べる商品」
「ベーコンの旨さの基準は脂にあり」
「脂の旨さを求め国産豚ばら肉を使用」
「国産豚ばら肉は脂肪が多いのが特徴」
と「脂が旨い」というキーワードを伝えたところ、クレームは皆無となり、逆に「播州ハムベーコンの脂に溺れる会開催」とか、弊社標準の倍ほど脂があるベーコンの写真を掲載して「国産肉でつくられたベーコンです。おいしそうでしょう」と絶賛する投稿がネット上に溢れるようになりました。
その後、このベーコンはプロの料理人や食通の間で高評価を得ることができました。
姫路おでんと松浦亜弥
2006年。ご当地グルメ・姫路おでんの伝言キーワードを選定している際に「生姜しょう油で食べるおでん」だけではインパクトが弱いと感じていました。
そこでネットで検索してみると、アイドルとして当時人気絶頂の松浦亜弥さんがあるテレビ番組で「生姜醤油で食べる地元姫路のおでんを紹介した」という記事を見つけました。
番組は 亜弥さんが出演者におでんを食べさせた後、「実は私、生姜醤油では食べないんです」というオチで終わったのですが、紹介したのは事実だったので、姫路おでんホームページのリード部分に「姫路出身の歌手・松浦亜弥さんがテレビで紹介したおでん」というメッセージを追加しました。
その結果、姫路おでんは「生姜醤油」「松浦亜弥」という2つのキーワードで狙い通り全国に情報拡散することができました。
ちなみに当初、松浦亜弥さんの事務所はマスコミからの「姫路おでんに関する問合せ」についてはノーコメントでしたが、知名度が上がった2年後、新聞紙上で本人から「なんか、私の言ったことで凄いことになっているみたい」とのコメントを頂く事ができました(笑)
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インターネットのユーザーはオウム返しのようにネットの言葉に反応する傾向があります。私の経験則からこの方法は非常に有効だと信じています。
伝言キーワードをたくさん詰め込むと伝わらなくなるので1~2個に絞り込んでください。キーワードが適切であれば、クチコミとして広がっていきます。
クチコミされたいと思うキーワードを見つけ、それを意識してメッセージの中に仕込む。ブランディングの観点からも大事な事だと思います。
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・ブランディング コンサルタント・堀田周郎(兵庫県姫路市)

堀田 周郎

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