こんにちは。
ブランディングコンサルタントの堀田周郎(ほりたのりお)です。
ブランディングとは
ターゲットの心の中に価値を刻み込むためのコミュニケーション活動です。
以前、価格設定で客層が変わる話を書きましたが、発信するメッセージの違いで、反応する客層は全く変わってきます。誰に向かって、どんな言葉を使用するかは慎重に考えなければいけません。
誰に伝えたいのか?
スローガンやキャッチフレーズ、ボディコピーといったメッセージを考えるときは以下の順番で考えていきます。
- 誰に
- 何を伝えて
- どうして欲しいか
この時、最初に決めるのは「誰に」です。
ところが、3番の「どうして欲しいか」→「とにかく買って欲しい」からスタートしてしまうと「何を伝えて」→「売れるメッセージなら何でもOK」、「誰に」→「買ってくれるなら誰でもOK」となってしまいます。
昔あるネットショップの店長さんから「うちのお客は安くしなければ買ってくれない」という悩み相談を受けたことがあります。
ホームページを一目見ただけで理由は分かりました。
なんと、TOPページにでかでかと「激安の○○○」と書いてありました(笑)
「安い」というキーワードで集客したお客さまは当然安さを求めてきます。そして、より安い店があれば移ってしまいます。これは大企業も一緒です。
・新製品が安い
・安値世界一への挑戦
・激安の殿堂
・うまい、やすい、はやい
ほらっ! こんなメッセージを受け取ると、
やっぱり「安い」を期待してしまいますよね。
お客さまが、商品やサービスを選ぶ基準は「価格」「品質」「利便性」「ライフスタイル」などさまざまです。客層によって反応するメッセージは違ってきます。
以下のセミナータイトルを見比べてください
- めざせV字回復 一発逆転財務セミナー
- お金を残す マル秘の節税対策セミナー
同じ財務セミナーでも片方には「赤字企業」が集まり、もう片方には「黒字企業」が集まります。これを「小さな会社の財務セミナー」というタイトルにすれば小規模企業や個人商店の参加者が中心となりますし、「中堅企業の財務セミナー」にすれば それなりの企業の参加者が中心となります。
これとよく似た例で、昔 流行った問題提起型のキャッチコピーで「○○で損をしていませんか?」というのがありましたが、このコピーで呼びかけると「損をしている人」を集めてしまいます。
使う言葉、メッセージで
客層は決まってしまうので注意が必要です。
客層に合った言葉で語る
大阪・新世界の庶民的な串カツ屋の主人が
「いらっしゃいませ。ご注文は何になさいますか」と丁寧に接客すると、常連さんから「大将、どないしたん。頭おかしなったん?」と言われるかもしれませんし
東京・銀座の高級ブランドショップの店員が
「いらっしい!今日は良い品入ってるよ」と大声で接客すれば、上得意のお客さまは2度と来店しないかもしれません。
言葉づかいに正解があるのではなく
客層にあったメッセージや言葉づかいがあります。
これはネットショップでも同じです。
黎明期の1998年、当時日本のインターネット利用者は全人口の10%未満、20代~30代の理系男子が中心でした。その頃のネットショップでは「友だちにしゃべるような、親しみを持った言葉づかいで接客するのが正解」というのが通説でした。
しかし その後、OLを含めたビジネスマンに浸透していき、そして50代~60代普通のおばさんたちにまで広がってきた時に「正しくきれいな日本語で接客するのが正解」と変わってきました。
お客さまに媚びる必要はありません。
しかし、少なくともブランディングをめざす以上は、自分の理想とするお客さまの顔を思い浮かべて 言葉を選んでください。
言葉づかいを間違えると、
ターゲットにメッセージが伝わりません。
イメージを統一する
ブランディングの際、企業からターゲットに対して行うコミュニケーション活動は「メッセージ」の他にも、ネーミング、ロゴ、カラー、デザインの他、接客、広告宣伝など多岐にわたります。
これらすべてのイメージの統一感が必要です。
串カツ屋には串カツ屋らしいブランディング、高級ブランドショップにはそれに相応しいブランディングがあるはずです。
いくら、同業他社店が 成果を上げた手法だとしても、人気のマーケテイング書籍で紹介されていた画期的な手法だとしても、自社のブランドイメージに合わないモノは採用してはいけません。
ブランドには「らしさ」が必要です。
会う度に態度が違う人を信用できないように、イメージが統一できていないブランドは、多額の広告宣伝費を使って知名度を上げることに成功したとしても、けっしてターゲットの心の中に価値を刻み込むことはできません。
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誰に、何を伝えて、どうして欲しいのか?
最初にこれをしっかり決めないと
自分のブランドに相応しくないお客さまを集めてしまいます。
「こんな客はイヤだ!」と言いながら、
そんな客層を集客しているのは、
自分自身が発信しているメッセージに原因があるのかもしれません。
ご注意ください。
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・ブランディング コンサルタント・堀田周郎(兵庫県姫路市)

堀田 周郎

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